丸の内〜大手町界隈編
キッチュ(Kitsch)とはドイツ語で「けばけばしさ」「古臭さ」「安っぽさ」 を積極的に利用し評価する美意識である とのことで、個人的にわりと好きな概念である。かつての勤務地だった東京大手町界隈には、「歴史的建築物と新ビルが合体」したキッチュな建築物がいくつかあるので、今回改めてまとめてみた。
日本工業倶楽部会館
「何か変?」と気づいたのは、このビルが最初であった。新丸の内ビルディングの隣で、後ろにそびえている普通のビルは三菱UFJ信託銀行本店ビルである。
ビルに古そうな建物が刺さっている!
Wikipedia によると
日本工業倶楽部の事務局が置かれ、戦後はかなりの間、経団連、日経連、経済同友会も事務局を置いていた。1999年8月23日、登録有形文化財として登録されたが、老朽化のため、2003年3月に会館の南側部分を保存・再現したうえで建て替え、三菱信託銀行本店ビルとして竣工した。
こんな感じで刺さっている
正面のエンブレム?みたいなものは?
Wikipedianにより解明。
日本における数少ない本格的なセセッション様式であり、全体に「雅にして堅」を旨とし、国賓を迎えることを考慮して、正面玄関にはドーリア式オーダーのエントランス・ポーチが配され、正面階段も広くとられた。正面屋上には小倉右一郎作の二つの人像が置かれ、戦前の日本経済の中心であった石炭(ハンマーをもった男性)と紡績(糸巻きを持つ女性)を表現している。
このような歴史的建築物が刺さっているタイプを、ここではコンバイン型と定義する。
東京銀行協会ビル
「何か変?」と気づいたのは、日本工業倶楽部会館であったが、それに気づくと大手町界隈には、もっと変なビルがあることに思い当たった。和田倉濠に面しているこのビル、バブル終焉(1993年)に建て替えられたらしい。その際、何があったのか歴史的建築物の外側だけを、新ビルに貼付けた?とか…。
コンバイン型とは言いない。見れば見るほど、お固い銀行協会のビルにしては、お茶目ではないか? しょせん、銀行なんてそういう組織なのかな?
これが一番キッチュですが、笑える以上の何ものでもなく、私の愛着も乏しい。
明治生命館
ラインナップとして、重要文化財でもある明治生命館を掲載すべきかもしれないが、あのビルは私に言わせると、コンバイン型ではなく、連結型(私が勝手に定義)で歴史的建物に新ビルが連結していて、見ていてもキッチュな感じがない。
そのため、当初見たときもキッチュな驚きがなかったので割愛してしまう。
東京中央郵便局
JPビルとかKITTEと言えば今風ですが、わりと最近(2008年)までは昭和8年(1933年)に建築された郵便局である。
出来上がってみれば、「おお、おまえもコンバイン型か!」と新しいコレクションが増えて嬉しかった。
なお、歴史的建築物の屋上は出ることができ、お気に入りお散歩&休憩スポットである。こんな景色を眺めることができる。
日本橋編
このビルもコンバイン型ではなく連結型なので、関心は薄いのだが、初めてみたとき歴史的建築物&最新ビルという発想を初めて体感させてくれたビルなので、掲載しておく。このビルの存在を知っていたので、日本工業倶楽部会館の異変にも気がついた。
日本橋三井タワー(三井本館)
タワーの方はマンダリンホテルですね。本日、仕事帰りに寄り道して撮影してきた。
連結部分は、こういう感じ。
せっかくであれば、コンバイン型にして欲しかった。
まとめ(というより自分の思い)
以前の丸の内〜大手町界隈は、31mラインで高さが統一されていたのに、最近はすっかり高層化で統一されてきている。ここは日本で一番テンション(緊張)が集中している土地だと思うので、また何か新しい視点でまとめてみたいと構想、ではなく妄想中。
1999年〜2005年までは、東京ミレナリオで盛り上がっていたようだが、私が勤務していたのは2006年以降だから、ミレナリオは全く知らない(興味もなかった)。なお、大手町勤務で一番印象に残っているのは、御幸通りを菊の御紋をつけた馬車がランニングをしていたこと。そういう光景が好きなのに、ややもすると(三菱大好きの方には申し訳ないですが)この付近は三菱臭が鼻につくのが苦手である。