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私にジーン・ウルフ読める?

SF? ファンタジー?

ジーン・ウルフという作家、気にはなっていましたが、なんだか難しそうだし、ファンタジーっぽいし、予備知識?ないと読めなさそうだし… と躊躇していたとき、このTweetを見かけたので、足を運んでみました。

場所も新宿ファーストブック(コクーンビル)ということで、入るの初めてです。

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ざっくりトーク内容をまとめてみると

私にとって宮脇氏はミステリー翻訳家のイメージがつよかったのですが、ジーン・ウルフの短編にはわりとご経験があるお話ぶりでした。

こちらに含まれるある1編を取り上げ「よくわからない」と総括されてました。なぜならば、「普通と違う」。

普通は主人公の成長物語を楽しむのが小説だけど、作者の興味はそこにない。作者にしてみれば、主人公は全て完成し、むしろ回想しているので、成長物語はなく、その分知識?を集めてストーリーを進めている。

「物語を読むのではなく、取扱説明書を読む感じ」とのことです。

なので、誤植も誤植ではなく、説明文?として読み、最後に結果としてそれが物語の部分であったり、(やっぱり)誤植であったりということが判明する(らしい)。訳者の方の苦労が思い知られます。

電子書籍で検索しながら読みたい」というコメントもありました。

私にしては、トルストイ戦争と平和もそうでした。長編だし、ロシア人の名前も長いし、しかもお魚みたいに成長しながら名前変わったりしているし… など。

一方、今回初めてお目にかかった中野氏の話からでは、ドン・キホーテをたとえとして

こちらが夢の世界で向こうが現実で、それもいつのまにか、こちらが現実になって向こうが夢の世界になっていた、みたいな逆転現象がジーン・ウルフが描く世界では起こる

というように表現していたと思います。

(ストーリーにおいて)ある本の作者がドン・キホーテを最初に英訳した人の名前にっているから、これはやっぱりドン・キホーテを意識しているのでは?ウルフは命名にも意味を持たせているし…

と具体的な言及があり、柳下氏か宮脇氏からも

ファンタジーは異界の存在理由(理屈)があり、現実との関連性により読者が異界を受け入れてさせてくれるものだけど、それをしないのが特徴

とか

夢オチ、妄想、メタフィクション、日本ではそういう終末は受け入れ難い風潮あるかもしれないけど、「面白ければ良い」という考え

と、バッサリ。私はこういうタイプも許容できます。まとめに向かうにつれ、

御多分に洩れず、新しい太陽の力で人を癒す、救世主のような発想や、死ぬ=魂が生まれ変わるのようなキリスト教カトリックの思想)がベースにはある

とのことでした。西洋の文学って、やはり実は隠し味として宗教が色濃く効いているケース少なくないですね。

柳下氏は、全般に渡ってサポート的なコメントをしてくれてました。残りの二方が、玄人向けの発言をするので、素人にはありがたかったです。これもかねがね読んでみたいと思ってました。

ケルベロス第五の首 (未来の文学)

ケルベロス第五の首 (未来の文学)

なお中野氏は、先日リリースされた「ナイト」の解説を書かれているとか。

これから何を読もうか

また最後に近づくにつれ、客席に紛れるようにいらっしゃった訳者の安野玲女史からも、控えめながら発言ありました。

これまでノーマークでしたので、他にどのような翻訳をされているのかな?とwikipediaで見てみたところ、なんと同窓の方でした。大きい学校ではないので、急にかなり親近感抱いてます。

なお今後のジーン・ウルフの予定として、短編のアンソロジーに若島正氏の訳が予定されているようです。これまた、私好みな方向へ。

今回のご三方も、続々?と国書刊行会からの新しいリリースを控えているようで楽しみです。

www.kokusho.co.jp

ジーン・ウルフ、SFなのかハイ・ファンタジーなのか、ジュブナイル色が強い作品もあるようなので、ここはまず小さい作品から取り組んでみようかなと。

こうやって悩んでいるのが楽しかったりします。

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