酒田市へ(その3)酒田市美術館と土門拳記念館へ
酒田市美術館
洲之内氏の美術随想「気まぐれ美術館」とそのの続編「帰りたい風景」では酒田の思い出&出来事が語れているけど、実は酒田市美術館への言及はない。そこで語られているのは、酒田市出身の画家で早世した小野幸吉のことである。
酒田市美術館は1997(平成9)年だから、洲之内氏(1987年没)ご健在時には存在しなかった...けど、酒田出身ならあるかな?と期待したけど...
上記サイトからの引用になりますが
常設の柱となるのは日本洋画界の重鎮、文化勲章受章者である森田茂の作品、日本芸術院会員の洋画家、國領經郎の作品、酒田市出身の洋画家、斎藤長三や佐藤昌祐の作品と、彫刻家、高橋剛の作品です。
ということで、小野幸吉作品はなかった(無念)。
洲之内氏のエッセイに触発されて酒田に向かったのだから、そんな小野幸吉作品が見たいけど... 市の美術館だからといって見れるわけでもなかった。
しかし!地方の美術館は地方ならではのお宝(素敵な作品)を収蔵しているから、自分は地方に行って地方のお宝作品に出会えるだけでもラッキーということで出掛けた。発見はありました。
企画展として「アンティークドールの夢展 ~児玉幸雄コレクション~」が開催されていた。
傲慢な物言いになるけど、地方美術館の企画展は、大概東京でお目に懸かれるので(正直)あまり興味はない。けど、今回は何となく惹かれて寄ってみた。
「フランスやドイツで制作されたビスクドール」という存在を知ったのも発見であったが、今回の「児玉幸雄コレクション」は茨城県の笠間日動美術館のコレクションで、そもそも何故ここで?と思うかもだけど、このコレクション寄贈者である児玉幸雄画伯の作品を酒田市美術館が収蔵しているのがご縁のように見受けられた。
残念ながら、ここでは紹介できないけど、この児玉画伯によるアンティークドールが描かれているフランスの蚤の市の油絵も展示されてて、これが結構ステキな感じでよかった。児玉画伯はパリの日常風景を得意とされているようで、おそらく散歩で目にした蚤の市の光景と、そこで出会ったアンティークドールに魅了されたようで、油絵からその気持ちがとてもよく伝わった。
企画展の後に常設展「新田嘉一コレクション」を見た。
実はこれが... 多くの謎?を解明できる展示だった(我ながら、大げさな物言い)。
上で言及した下記の作品の多くはこの新田氏のコレクションに拠るらしい。とくに、森田画伯の作品が素晴らしくて力強かった!
常設の柱となるのは日本洋画界の重鎮、文化勲章受章者である森田茂の作品
では一体新田嘉一氏とは... と思ったら、豚肉加工で有名な平田牧場の設立者であった(驚き)!
平田牧場は酒田の会社だったのねと。
ということでひも解いてゆくと、傾きかけていた酒田市の名所「相馬樓」や「山王くらぶ」をテコ入れしたのも、新田氏が関わっているようだ。しかも、それだけでなく、この酒田市美術館も隣接する東北公益文科大学も、全てこの新田氏の尽力に依っているようだ。
相馬樓サイトに「平田牧場通販サイト」へのリンクがあった謎も解けた。
地元愛ならではですね。
とくに新田嘉一(1933年〈昭和8年〉生まれでまだご存命かと)氏は「文化勲章受章者である森田茂の作品」には思い入れがあるようだった。森田画伯自身は酒田と縁はないようだけど、「1966年(昭和41年)に偶然目にした山形県羽黒山地方の郷土芸能である黒川能に強く惹かれた」作品を新田氏が購入したようで、このコレクションは見ごたえがあった。
大きな油絵調?の絵だけに、全体を写した写真などで見る限りでは普通に感じてしまう。しかし、これを近くでしかも実物を見るとなると、絵具の盛りに執念っぽいものがある。それが1点だけでなく複数あるのだから、見ごたえがないはずはない。
地元愛満載の新田氏が地元の郷土芸能に由来する作品を愛した背景を知ると、洲之内氏が愛した小野幸吉氏の作品は見ていないけど、少し色あせるように感じてしまった。
そもそも、なぜ酒田出身である小野幸吉氏の作品は酒田市美術館に収蔵されないのかな?っと。部外者(自分のこと)が関係者の苦労も知らずに無責任発言をするのは憚られるけど、せっかくであれば収蔵して見せて欲しいなと。作品所有者の都合であれば、やっぱり新田氏の思いが素晴らしいなと。
土門拳記念館
すっかり酒田市美術館の紹介に力が入ってしまったけど、ついで(なんて言うと大変失礼だけど)土門拳記念館もあるので、こちらへも足を伸ばしてみた。
ぼんやりとしか認識してなかったけど、wikipediaを読むと土門拳氏は東京&横浜で育っているけど、生れはバリバリの酒田市相生町で記念館の近くなのだなと。
あいにく一部工事中で、せっかくの作品も少ししか見れなかったのが残念である。
料金はきちんと払うので、たくさん作品を見せて欲しいな... と常々思う。まあ、決して出し渋っている訳ではないのだろうけど。
両方とも酒田駅からはちょと距離があるので、観光ルートに組入れたいときは、予め計画しておく方が無難かなと。
次回は宿泊したホテルのご紹介を考えているので、乞うご期待!