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R.ウィリアムズの訃報を耳にして

自死を選ぶアメリカの著名人

今回の訃報を耳にしたとき「あれ? 近頃同じような思いをしたな…」と、今年2014年2月に薬物中毒でなくなったフィリップ・シーモア・ホフマンを思い出しました。随分むかしのように思いましたが、今年だったのですね。

映画「カポーティ」の印象がまだ残っているだけに、最期までカポーティになってしまったホフマンに、アメリカ著名人の多くは意外にも心の奥に深ーい闇を抱えているのかな?と気の毒になってしまいます。ウィリアムズもしかり。


Capote - Trailer - YouTube

カポーティが抱えた闇は?

カポーティの代表作「冷血」は、私のお気に入り。この作品は明るいものではなく、実際に発生した一家銃殺事件を、カポーティが事件の発生から犯人2人の逮捕、そして死刑執行に至るまでを、緻密に積み上げた作品で、(どこまでノンフィクションでどこがフィクションなのかわかりませんが)ノンフィクション・ノベルとして、かなりの話題になったようです。

冷血 (新潮文庫)

冷血 (新潮文庫)

しかし、その名声を得るためには、カポーティは感情移入し友情に近い思いを抱いてしまった犯人(のうちの片方)の死刑執行を待ちわびるという、相反する心境に苦しめられるようです。確かに、そこまで感情移入できたからこそ、犯人の1人は心のうちを素直に打ち明けることができ、カポーティも緻密な犯人の心理描写ができたのかと思ってます。

ティファニーで朝食を含め、カポーティの作品は結構読んでますが、冷血が放つ凄みは格別で、これを書き上げてしまったら、何も書くことができなくなるのは容易に想像つきます。にも関わらず、10年以上も経ってカポーティは「カメレオンのための音楽」「叶えられた祈り」という2作品を書きます。

麻薬をやったことはありませんが、この味を覚えてしまうと、神経は以上に過敏になり凡人が見えない世界が見えてしまうのでしょうか。「カメレオンのための音楽」という短編集に中には、爬虫類で人を殺す話があり、「叶えられた祈り」は暇とお金を持て余したセレブリティの退廃が、冷血ばりの緻密というより執拗さで書き綴られていて、両作品とも気色悪い様相を帯びてます。

カポーティもセレブですし、前作を乗り越える作品をもう一度… というプレッシャーも理解できるので、麻薬に溺れてしまうのは悲しい必然なのでしょうか。

さよなら、キーティング先生

私は同僚だった男性2人を自殺でなくしていますが、彼らに共通しているのは厄年前後の年齢かつ泥酔後の出来事であること。冷静な第三者から見れば、両者とも自殺に追い込まれるほど深刻な状況下でもないのに、泥酔が彼らを強烈なメランコリーに包んでしまったのですね。

幸いにも、我が家は父私弟ともお酒を飲むと躁で陽気になる気質(母1人が暴れるたちが悪い系)です。ウィリアムズもアルコール依存性に苦しんでいたようですが、「いまを生きる」のキーティング先生(ウィリアムズ)という役を思うと逆説的な気分になります。この映画は、キーティング先生の教え子(主役)が父親との対立で自殺してしまうのです。


Dead Poets Society (1989) Original Trailer - YouTube

余計な余談ですが、この「いまを生きる」は私が高校3年生の文化祭出し物として、クラスメイトが脚本を作りみんなで演じるという、クドいけど愛おしい思い出があります。ちなみに私は台詞一言だけある「生徒その4」みないな役でした。きっと、あのとき一緒に演じたみんなも、今回の訃報を耳にしてあの文化祭を思い出しているに違いありません。

カポーティもホフマンも、そしてウィリアムズも安らかにお眠りください。合掌。

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