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沈んでいるときは古典でも読む(お家物語/ロシア編)

ドイツ編にならって、こういうタイトルをつけてみましたが、沈んでいるときに読んでもドイツ編ほど滋養はないかも。それでも、読み終えたときに結構な充足感があったのです。さすが古典?

戦争と平和

戦争と平和〈1〉 (新潮文庫)

戦争と平和〈1〉 (新潮文庫)

そもそも、この本を手にしたのは現実逃避をしたい思いのもと、

  • ナポレオンのロシア遠征を知りたかった
  • フランスかぶれなロシア社交界を読んでみたかった
  • ロシアの有名な長編小説を読んでおきたかった

などなどに興味があったからで、お家物語を読みたかった訳ではないのです。加えて長編なので、最初の1/3くらいは、登場人物(559人ですって)を把握し(しかも魚のように成長すると名前が「まーくん」から「まさる」に変わるように微妙に変化します。魚ほど違う名前には変わらないが、誰が誰なのかを覚えておく苦労があり)、誰がキーパーソンで、誰が悪者で、誰がどこで&何で死んだのか? そして誰が狂言回しで…と自分なりにストーリーを構成していく必要があります。それを怠ると、最後まで物語を読むことができません。なので、最後まで読み切るまで、これがお家物語になっていることに全く気づきませんでした。

読み終わってからは、この掴みどころが不明な小説の価値を調べてみると「若者(若かりしきころのトルストイにとって)の自分探し」と解釈されている人もいるようですが、「(帝政ロシアの一生使い切れないほどの財産を持つ)若者の自分探し」と言われても、現代の日本人を被せたところで全く共感は得られないかと…。それでも、歴史小説という観点からは華やかな社交界に含まれている毒のような打算的人間関係とか、戦場における上層部の名誉欲と下層部である現場の地獄(「戦争」)とか、泥臭い部分にそえなりの読み応えがあったりもします。そして、結末は帳尻も合い、結局ある主人公たちが属する二家族の物語だったのか!と気づいて(「平和」が訪れて)終わります。

文庫本数冊にまたがる長編ですが、一貫して女性のキーパーソンは「ナターシャ」という男性からもモテる無邪気で天真爛漫な女性です。この方、筆者トルストイが素敵に描いてくれているので、人生沈みもしますが必ず浮上もしてきます。しかも、いつも最高な形で。

正直、沈んでいた(今となっては過去形)私にしてみれば「こんなに人生巧くいかないよ(ボソッ)」という一方で、こういうナターシャみたいな女性とその生き様はトルストイの理想なのかなと思いました。誤解を招かないよう言えば、異性にモテたい!という意味ではなく、純真無垢に身近な異性に活力を与えてあげる存在は、結果として自分に最高な形で戻ってくる可能性もあるのかな?という期待です。ひょっとすると、それを悟ったことに私は充足感を覚えたのかもしれません。

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