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沈んでいるときは古典でも読む(お家物語/ドイツ編)

今週のお題「選んでよかったもの」 時間潰しはテレビより読書、しかも雑食系で活字中毒気味だったのですが、2年ほど前リストラとなり、かつ私生活もゴタゴタ起こして人生リセット中、読書ができなくなりました。本を読んでも、内容が一切頭に入ってこなくて、ましてやフィクションなどストーリーすら追えない。というより、文字が追えてない。「意外な結末!衝撃の事実!」のようなものは、作者の努力も省みず失礼な発言ですが、その作りごとが鼻について頭が受け付けません。「衝撃の事実など、意外ではなく平凡の中にあるから衝撃なんだ」とか、屁理屈こねたりしてしまうのです。まあ、それだけ私自身、精神面に余裕がなかったと思います。

そこでリハビリも兼ね、かつてハマった古典を振り返ってます。現在進行形の作者は「意外な結末!衝撃の事実!」で売上げを出し、映像化してもらわないと先が続きませんが、古典は作者が書きたいこと書いて、時代をくぐり抜けてきたので、ときに読んでいて考えさせられることも少なくないです。むしろ、書き手のサービス精神は薄いので、読み手が積極的にそこから何かを読み取らないと、面白いどころか先に進む気にもならないかもしれません。そういう古典群のなかで、私が割と気に入るのは「お家モノ」と読んでいるある一家の物語です。概ね、その家の栄枯盛衰を描き、最後は没落でその落差が激しいほど面白さにつながるのでしょうか。いわゆる、他人の不幸は面白いのです。

今回ご紹介するのは、ドイツのノーベル賞作家であるトーマス・マンの自伝的小説ですが、内容はタイトルそのものです。舞台は多分20世紀初頭のドイツの裕福な商人一家(マンの実家ですね)で、栄枯盛衰の末、最後は没落…とまではいきませんが、能天気にはなれない雰囲気を残して終わる感じです。確かに、時代もドイツの場合は、第一次世界大戦を迎えるのですから、能天気に終わることは無理があるかもしれません。たとえ相続税がなくても、家は三代で傾いてしまうものなのかもしれません。

ブッデンブローグ家の人びと

ブッデンブローク家の人びと〈上〉 (岩波文庫)

ブッデンブローク家の人びと〈上〉 (岩波文庫)

今回は本の解説ではないので、ここで長々と私の見解を書くつもりはないのですが、一言だけ述べさせてもらうと、むかしのドイツのお話でも、かなり現代の日本人の生活に置き換えても読めるところが「さすが」ノーベル賞作家、人間生活の普遍性を描いてます。人生はいろいろな歯車がかみあって回っていますが、狂わずに回し続けることは難しいです。本人の意識とは無関係に勝手に狂いますからね。私も2年前に大きく狂ってしまいましたが、ひたすら耐えて調整しています。

「何か、最近人生調子が悪い?」と感じている方は、こちらを読んで歯車の狂い始めの見極めを検証するのはいかがでしょうか?即効性はありませんが、根気よく噛むことで何かに気づくかもしれません。

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