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新宿でフランス・ミステリーの夕べ

訳者と考えるフランス・ミステリー

きっかけは、こちらのTwitterだったのですが、

杉江松恋氏は、長らく私が追いかけている書評家です。しかも今回は「あの女アレックス」の訳者である橘明美氏と、フランスものの翻訳ではよくお名前を見かける平岡敦氏の3人ということで、連日ですが私にしては珍しく仕事帰りに道草してきました。

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なお橘氏を知ったのは、大学の同窓会会報誌で「活躍する卒業生」みたいな紹介の欄に掲載された記事がきっかけです。私もそういうところで紹介できるような仕事をしたいものです…。

「ピエール・ルメートル」とは?

ちょくちょくお名前は聞き及んでいたのですが、それほど業界関係者においては話題な方だったのですね!(驚き)

フランスでの刊行は

  1. 悲しみのイレーヌ(2006年)
  2. 死のドレスを花婿に(2009年)
  3. その女アレックス(2011年)
  4. 天国でまた会おう(2013年)

日本では

  1. 死のドレスを花婿に(2009年)訳者:吉田恒雄
  2. その女アレックス(2014年)訳者:橘明美
  3. 悲しみのイレーヌ(2015年)訳者:橘明美
  4. 天国でまた会おう(2015年)訳者:平岡敦

の順で「死のドレス…」はさほど話題にならなかった?ものの、「アレックス」が話題になったので遡って「イレーヌ」が刊行されたと、最もな販売事情があったようです。きっかけは、何が当たるのかわかりません。

死のドレスを花婿に (文春文庫)

死のドレスを花婿に (文春文庫)

悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)

悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)

その女アレックス (文春文庫)

その女アレックス (文春文庫)

天国でまた会おう(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

天国でまた会おう(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

天国でまた会おう(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

天国でまた会おう(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

いきなり、ラフに今回の「ピエール・ルメートルとは何だったのか」という大きなテーマをまとめてしまうのも気が引けますが、

  • 物語の大きな構造
  • 過去の文学へのオマージュとかリスペクトとか
  • キャラクター小説

という当たりに焦点を絞って語られていました。

読んでる自分は、先が先が気になってついついストーリーを追いかけてしまいますが、やっぱり訳されている方は、全体なり部分なりをよく感じているなと至極当然のことに改めて気付きました。橘氏も「アレックス」で

ネズミと戦うところ訳したかったし、非常にエネルギーを感じる文章で、物語に構造があった

という風に述べつつ

フランドル画家のヒエロニムス・ボスが描く絵のように造形が絵画的で、細々と細部を丁寧に描きつつ、それでいて大きな絵を描いている

という特徴も興味深く感じました。

後半はお気に入りフレンチミステリー

各々の方がご紹介いただきました。

パズル (ハヤカワ・ノヴェルズ)

パズル (ハヤカワ・ノヴェルズ)

ブラン・マントー通りの謎 (ニコラ警視の事件1) (ランダムハウス講談社文庫)

ブラン・マントー通りの謎 (ニコラ警視の事件1) (ランダムハウス講談社文庫)

彼女のいない飛行機 (集英社文庫)

彼女のいない飛行機 (集英社文庫)

わらの女 【新版】 (創元推理文庫)

わらの女 【新版】 (創元推理文庫)

シンデレラの罠【新訳版】 (創元推理文庫)

シンデレラの罠【新訳版】 (創元推理文庫)

今回改めてハヤカワポケットミステリーも捨て難い掘り出しモノがありそうとお話を聴きました。

危険な道づれ (1981年) (世界ミステリシリーズ)

危険な道づれ (1981年) (世界ミステリシリーズ)

松恋氏絶賛の「寂しすぎるレディ」(絶版) f:id:yfroot425:20160215233639j:plain

なので、「図書館で借りれば読める」とのことでした。

ドイツ・ミステリーをちょこちょこ読み始めてますが、フランス・ミステリーも自分で読んでみればその違いを楽しめますね。なおフランスものの特徴は橘氏囲碁を例えに

最初はパチ、パチと碁石をおいてゆき、いずれ全体が見渡せるようになってくると、やがて碁盤の目からはみ出て行ってしまう。

とかプロレスに例え

最初はリング内で戦っていて、やがて場外乱闘にもつれ込み、そのままリングに戻ってこない

と形容していたのが非常にわかりやすかったです。さすがフランス、型にはめられるのを嫌います。楽しみ、増えてます。

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