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作家・車谷長吉氏の世界から

泥臭い人間の姿を読むのは辛い

本当は本読みが好きなので、本のことを書きたい気持ちがあるのですが、ついアクセス数とか意識してしまうと、時代の流れを意識しない自分の興味本位を書いても仕方がない?とか、欲が出てしまいます。そもそも、そんな人々の関心惹きそうなキーワードを拾って、私が何かを書くこと自体、仕方がないことなのにも関わらず、なのに。

さておき、今年5月に作家車谷長吉氏が死去したことには驚きました。

塩壷の匙 (新潮文庫)

塩壷の匙 (新潮文庫)

それでももう70歳だったのですね(自分の両親と同じくらいではないか!)。何か病気でも?と勘繰ったのですが、「誤嚥による窒息」とのこと。何を食べていたかは不明です。身内にしてみれば、これは衝撃大きくないか?とお節介な心配をしております。

むかしまだ自分が若かった2000年のころ、氏の作品を読んでみたところ、読みにくい... という印象しか残ってません。今回は15年の時が過ぎ、改めて読んでみようと図書館へ予約しようと検索してみると、何と数人の予約待ち状態。人気の作家であったか? もしくは、私同様に死去のニュースを耳にして読み直したいと思ったご隠居さまたちでしょうか。予想外でした。

赤目四十八瀧心中未遂

赤目四十八瀧心中未遂

武蔵丸 (新潮文庫)

武蔵丸 (新潮文庫)

まづは「武蔵丸」という短編集を読みました。

読むのが辛い。氏の作風の特徴でしょうが、人自身の偽ることができない性(さが)を執拗に、しかも土着の言葉で綴られ(外国語への翻訳はできませんな)、耳慣れぬ標準語ではない言葉遣いが凄みを増してます。辛い、辛いと思いながら、結局結末が気になったり、その毒に当てられたのか、辛さも限度を超えてしまえば、そこから先は作品を客観視しつつも読み通すことができました。

日ごろ、他人から見て接しやすい自分を演じざるを得ない日常を送っている身からすると、演じることは社会での人間関係を円滑にさせる行為なのだな、としみじみしてしまいます。ドロい人間本位の姿に触れたいとき、お勧めの作家です。

映画「赤目四十八瀧心中未遂」からの連想

長吉氏の代表長編を原作とした2003年の映画。

監督は荒戸源次郎、主演は大西滝次郎寺島しのぶですが、しのぶ氏が若い。彼女は、いっそこのまま実生活でも女優としても怪女になって欲しいと変ない期待を抱いてます。

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面白いのは、大楠道代という女優が出ていますが、俳優の新井浩文は大楠氏の付き人やっていたようです。また、麿赤兒大森南朋親子も出演してます。

この面々は、映画「ゲルマニウムの夜」でも集まりますね。 原作は花村萬月、監督は大森立嗣(南朋氏の兄)、主演は新井浩文で、麿赤兒&南朋も出演してます。

そして、大森立嗣氏は「まほろ駅前多田便利軒(原作は三浦しをん)」「さよなら渓谷」の監督もしてます。

映画「さよなら渓谷」の原作は吉田修一(「悪人」の作者ですね)、主演は大西信満大西滝次郎)と真木よう子となります。


映画『さよなら渓谷』予告編 - YouTube

「赤目...」や「ゲルマニウム...」は、心の澱を感じてしまいます。一方「まほろ駅前...」は大根仁監督のドラマも含めて大好きです。瑛太&松田龍平のハーモニーが最強なのかもしれません。

ということで、一つの映画をきっかけに紐解いてみれば、いろいろな映画と小説を楽しむことができます。

リストラ直後、失業保険もらって時間あるときはよく映画を見てましたが、最近はテレビすら見る時間がなくて少し寂しい。

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