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東京駅のギャラリーで鴨居玲展

東京駅のギャラリーは雨でも便利

東京駅を経由して通勤している私にとって、東京駅の一番神田より端っこにある東京ステーションギャラリーは、大変アクセスが便利な美術館です。しかも規模が大きくないので、せっかちで注意力散漫な私には量がほどほど、食傷気味にならずに見終えることができます。

今回は先日地下鉄の中刷り広告で見たこちら「没後30年 鴨居玲展 踊り候え」です。

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正直明るい感じの作品ではありません。暗い作品に救いがあるのか?と問われれても、イエスともノーとも言えない。それでも、何かが沈殿しているように描き重ねられているような絵は、私の中でとても印象深く残っていたのです。一度は実際の絵を見てみたい気持ちが残っていたので、今回はまたとない機会でした。

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www.ejrcf.or.jp

今気づいたのですが、今回の企画は「北陸新幹線開業記念」だったのですね。それは鴨居が金沢と縁がある人物だからということでしょうか。

金曜日は20:00まで開館しているので、仕事帰りに駆けつけましたが、予想以上に人がおりました。混雑しているほどでないですが、独り占めして眺めることもできません。皆さん4,000円の年間パスポートとかお持ちで、東京駅近辺に勤務している美術好きの方々かな?とか推測してしまいました。と、思うほど、多くはないですが絶えることなく人は入場してきました。

鴨居羊子鴨居玲

振り返って思うと、鴨居玲を知ったのは鴨居羊子の弟というのがきっかけです。鴨居羊子を知ったのは、当時まだ真面目に会社員していた私は日経新聞を読むのが楽しみで、日曜版だか何かで彼女のことを目にしたのだと思います。

やがて芋づる式で、この姉弟の生い立ちやら作品を知るにつれ、自分の関心が膨らんでおりました。

鴨居姉は、下着デザイナーという肩書きで、戦後まもなくサラリーウーマン生活を辞め、当時まだ真面目だった女性の下着にファッションを導入した人でした。私個人的にはその背景よりも、エッセイストとして、いろいろな思いを綴っている文章の方に惹かれていたのです。

わたしは驢馬に乗って下着をうりにゆきたい (ちくま文庫)

わたしは驢馬に乗って下着をうりにゆきたい (ちくま文庫)

弟の死には(確か)多くを語っていませんでした。もともと新聞記者だったので、文を書くことは得意だったに違いないかと。

展示会で拾ってきた言葉

鴨居弟が語っていた言葉です。

興味ある瞬間の凝縮した表情のみ描く

下記は、それが必ずしも出てくるとは限らないが... 一方上手くできた場合には

テーマと構図は一緒になって出てくる

解説文からの引用です。

酔っ払いや老婆のように、ドラマを秘めた映画的空間を生む鴨居独自の画面

確かに明るい画調ではないですが、脂が乗っていたと思われる40前後のスペイン滞在のころの作品は、何かを感じさせる雰囲気に満ちています。一方、日本に腰を据えた晩年は苦しそうな自画像が多く、皮肉にも逆にそれが際立つくらい自分を追い込んでいたようです。

自らこの世に別れを告げる理由は他にもあったのでしょうが...

むかしの東京駅のレンガが残っている

エレベーターもあるのですが、下りは階段を利用するような経路になってます。

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ともかく、久しぶりの美術展でしたが、日本の芸術も現在進行形のアートもなかなか良いなーと充実感を味わいました。

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